池塘(ちとう)と生き物



1、池塘のでき方

2、池塘で生育する昆虫や植物

3、透明な池塘と濁った池塘

4、水位の異なる池塘

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 池塘(ちとう)とは難しい漢字を使いますが、塘とは「つつみ」で土手のことを意味し、湿原内にある池のことを、とくにさします。



1、池塘のでき方(おまけ付き)

 池塘の成因は河川の氾濫によってくぼ地に水が溜まったり、河道が変わったことによって三日月湖となったためできあがったといわれています。このように書くと単なる水たまりと考えがちですが、その後の成長過程が沼や池と異なります。沼や池は土砂の流入により年々水深が浅くなりますが、池塘は逆に水深が深くなるのです。これはどうしてか?
 それは泥炭層の堆積速度の違いによるもので底部の泥炭層は年間0.1mmしか堆積しないのに対し、岸辺は年間0.7〜1mm堆積するためです。それゆえ年々水深が深くなっていくという面白い現象が生じます。
 ところで、極たまに?登山者が池塘に落ちているのを見かけますが、あれは悲惨ですよね。なんたって底はぬかるんでふん張りがきかないし、リュックを背負っているため身動きがとれない。着替えがなければ春や秋は凍死しそうなほど寒いはず。そこで、落ちると大変なことになる水深が深くて濁った池塘を紹介しておきましょう(まず、落ちることはないと思いますが)。
 木道沿いで最も深い池塘は牛首の近くにあります。現在はヤチヤナギが群生するほど乾燥化が進んでしまいましたが、昔はこの辺りを「ゆるぎ田代」といい、胸までつかるほどの池塘があったそうです。牛首からヨッピの吊り橋方面へ向かって3分程歩いた右側に、コーヒー色に染まった8畳ほどの池塘があります。水深が深いことを物語るようにオゼコウホネが黄色い花を咲かせておりますが、なんと2m90cmもあるのです。単独でここにあるのですが、なぜかこの池塘だけが異様に深い。尾瀬の不思議な現象がこんなところにもありました。
 もう一ケ所は水深1m80cm程ですが濁っていて深さがわからないため、落ちた時パニックにならないよう知っておきましょう。上ノ大堀川手前には3本のシラカバが立ち池塘のある休憩所があります。燧ヶ岳の撮影ポイントの所です。ここから上ノ大堀川方面へ向かい、10m程先の右側にある池塘です。ここは左に木道が曲がっており曲がった正面がこの池塘なので、燧ヶ岳の景色に見とれた人が餌食になります。また、このすぐ先にある右側の透明な池塘も登山者を容赦なく呑み込みます。水深2m10cmもあるこの池塘は特に落ちると最悪。木道沿いの岸辺は切れかかり、浮島が出来かかっている状態なので掴んでもふんばりがききません。ついでに休憩所が近くに2つもあるので、落ちるとみんなの注目を浴びてとても恥ずかしい。みなさん気をつけましょう。
(水深、水温、水質の調査については片品北小学校で実施した尾瀬学習の際、財団の許可をもらって行いました) 

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2、池塘で生育する昆虫や植物

 池塘は尾瀬ヶ原だけでも1500〜2000個はあるそうで、大きさも2m程から100m近くのものまで様々。さらに水深も10数cm〜3m以上とまちまちで、水深に応じて様々な生き物が棲み分けをしています。
水深
0〜10cm…ハッチョウトンボ、カラカネトンボ、ミカヅキグサ、ミヤマホタルイ
30〜50cm以下…カオジロトンボ、ルリボシヤンマ、ミツガシワ、
1.5m以下…オオルリボシヤンマ、コサナエ、イモリ、モリアオガエル、ゲンゴロウ、ヒツジグサ
1.5m以上…オゼコウホネ
 特に池塘はトンボにとってヤゴが生育したり親が餌をとるために重要な存在です。水深に応じてヤゴは棲み分けをしており親もその周辺をテリトリーとして活動しています。かつて、尾瀬のダム工事計画が発表されたとき反対のスローガンとして『電力かトンボか』というのがありました。尾瀬は高山植物ばかりに目を奪われがちですが、トンボの生息数の多さも見逃してはなりません。特に注目すべきは尾瀬が北方系のトンボの南限地であり南方系のトンボの北限地でもあるからです。九州に生息するハッチョウトンボと北海道に生息するエゾイトトンボが同一エリアで観察できることの、なんとすばらしいことか!
 湿原を何気なく眺めていると池塘の岸辺近くが異様に真っ赤に染まっていて、目を奪われてしまうことがありますが、これはモウセンゴケが群生しているためです。もともと適度な湿り気を好むモウセンゴケにとって池塘の周りは生育地として絶好の環境であろうし、池塘の周りには昆虫が集まりやすいことから食虫植物であるモウセンゴケにとって、栄養分の補給に事欠かないのかもしれませんね。
 

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3、透明な池塘と、濁った池塘

 隣同士の池塘なのに、一方は透明でもう一方が濁っているのは不思議なところ。
 まだ正確な調査結果は報告されておりませんが、透明である理由は伏流水の影響を受けているがゆえ、常にきれいな水が供給されているからではないでしょうか。竜宮などは水量が多いですが、もし少なければ出口部分は池塘となんらかわらないはずです。
 濁りのある池塘は逆に伏流水が浸透しないため、水の入れ替えが生じません。それゆえ濁りの原因となるミズゴケ酸がたまってしまうと考えられています。
 このように、隣同士であっても伏流水が浸透しているか否かで、色が変わってくる可能性があります。でもやっぱり不思議ですよね。

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4、水位の異なる池塘

中田代