クロサンショウウオ


NO.1 オス


NO.2 メス


NO.3


NO.4


NO.5


NO.6


NO.7

*サンショウウオ科サンショウウオ属
*出現時期…5月〜10月
*分布…尾瀬、武尊山、日光白根山
*発見難易度…☆☆☆

 私にとってサンショウウオは神聖な存在。子供の頃、親戚の人に奥羽山脈のどこかの山に連れて行ってもらったとき、偶然沢で見かけたのが初めての出会い。なんでこんな厳しい環境の中で生きているのだろう。子供心に不思議に感じてなりませんでした。そのようなわけで、子供の頃から抱いていた様々なサンショウウオへの疑問を自分の足を使って調べてみました。

 クロサンショウウオはハコネサンショウウオのように流水性ではなく止水性のため、山岳地帯にある地塘や池などに産卵します。尾瀬、武尊山、日光白根山の標高1300m以上に生息しておりますが、群馬県でも新潟寄りになると休耕田で産卵したりするそうです。クロサンショウウオの成体は普段森林内にいるため繁殖期以外はなかなか見つかりません。それは、多くが石や枯れ木の下に隠れているためです。

 NO.1がオスでNO.2がメス。ともに産卵のため池にやって来たものでメスの腹が卵でパンパンに膨らんでます。オス、メスの見分け方は総排泄口の形状を見るのが一番でオスには上部に突起物があり、メスにはありません。また、体長もオスの方が大きく写真のものは17cm(頭胴長8cm、尾長9cm)、メスが12cm(頭胴長5.5cm、尾長6.5cm)でした。このようにクロサンショウウオは胴より尾が少し長いのですが、トウホクサンショウウオになると尾が半分程の長さになります。写真のようにクロサンショウウオは「クロ」とありますが黒いわけではなく灰褐色がかってます。

 NO.3は乳白色タイプの卵嚢でこれだけたんまりあると壮観ですね。NO.3、5、6を見ての通り必ず小枝の先に産み付けるのが特徴で、水底に産んでいるようでも必ず枝に絡まっています。小枝に産み付けるのは、酸素をまんべんなく取り入れられるようにするためだと思います。ただ、NO.3のように水深1m以上ある池なら問題ないのですが、日光白根山の血の池地獄や武尊山の水深10cm以下の池を見ると、枝にぶら下がっているというよりは完全に底に横たわっているケースもあるので水量の増大によって流されないようにする目的もあるのかもしれません。
 2対1組を産卵しますが、これは卵巣の状態によるためだそうです。おもしろいことに卵の数がお互い違い、私が見たものは一方が15、6個あるのに対し他方が30個近くありました。なお、卵の数は個体差や標高差、餌の豊富さにより異なってくるそうです。
 尾瀬や日光白根山のクロサンショウウオはこの乳白色タイプの卵嚢。産卵はその年の積雪量に左右されますが、5月〜7月にかけて標高の低い所から産み始めます。尾瀬に関しては富士見田代、笠ヶ岳、尾瀬沼周辺で見られますが、尾瀬ヶ原ではほとんど見られません。なぜか?そこで「びっきとやまどじょう」のサイト管理者の方にお尋ねしたところ、尾瀬ヶ原に多く生息するイモリが関係しているようです。クロサンショウウオとイモリは互いに捕食者の関係にあり、イモリが先に産卵し孵化すればクロサンショウウオの幼生はイモリの成体に補食されてしまい、逆にクロサンショウウオが先に孵化すればイモリの幼生がクロサンショウウオに食べられてしまうそう。
 以上より武尊山や日光白根山にはクロサンショウウオが結構いるのに、尾瀬ヶ原ではなかなか見られない謎が分かってきました。考えられることとして第一に、クロサンショウウオの産卵前にイモリの成体が既に池塘で泳いでいることから、食べられてしまった。第二に、食べられないよう別の所に移動してしまった。第三に、じつは池塘の水底に隠れてじっとしていた。
 尾瀬ヶ原の場合、木道外を見ていないので何とも言えませんが、イモリの生息する白砂湿原ではクロサンショウウオの卵嚢を見かけないので、始めから棲み分けをしているのかもしれません。

 NO.4の写真は一体何なの?と思われるかもしれませんが、よく見ると卵嚢の周りにクロサンショウウオが見えるはずです。写ってはいませんがこの周りには30匹以上の個体がいるんです。卵嚢を守っているようにも見えますが、じつはオスの習性で卵嚢に興味があるだけ。産卵時にメスがやってくるとオスもついてきますが、これはメスの産み出す卵嚢に精子をかけたいから。そしてメスが産み出すや否や卵嚢めがけて10匹近くのオスが群がります。凄いもんですよ。このあたりの産卵行動がカエルやイモリと異なるところですね。
 ところで、このような産卵寸前のサンショウウオを見ていると、1匹のオスがちょっと泳いだり枝にしがみつくと周りから湧き出すようにオスが近寄ってきます。ひたすらこのようなことを夕方近くまでやってました。ではメスはどうしているのかというと底の物陰にじっと隠れているだけ。ただ、小さい池の場合はオスもそれ程活発に行動せず、メスも案外目立つところにいました。個体数も少なく争う必要もないからでしょうか?

 NO.5は今までの乳白色タイプと異なり半透明卵嚢タイプ。サンショウウオに詳しい方なら、それは透明卵嚢タイプだろとおっしゃるかもしれませんが、透明のものはNO.6、7に見られるように全体が透明になります。ただ、正確にいうと個々の卵は薄く白色がかってます。これは自分でいうのもなんだが相当珍しい。ちなみに、この半透明卵嚢を産んだのがNO.1、2のサンショウウオ達。参考まで、雪解け後のためかph6.7、水温9.5℃でした。
 これら透明のものは標高の高い所に生息するクロサンショウに見られ、低い所はすべて通常の乳白色タイプだそう。そこで私はある仮説を立てました。もしかして標高が上がるにつれ卵嚢も透明化していくのではと…。
 そんなわけで、透明卵嚢を産む武尊山に通い武尊牧場から山頂の鳳ノ池までくまなくチェックしたのですが、脆くも仮説が崩れました。無念。
 キャンプ場(1400m)と鳳ノ池(2100m)は共に透明卵嚢で中間の1700mにある池だけが半透明卵嚢だったというのが結果です。

 NO.6は産卵から10日過ぎのもので、何となくサンショウウオっぽくなりかけてます。これはキャンプ場にある池のもの。

 NO.7は3週間経ったもので1.5cmしかありません。まだ、泳ぎが下手なため底でじっとして外敵から身を守ってます。元気に育っておくれ。

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