植物の生育する場所



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1、木本

ブナ林
 樹木の中でもっとも肥沃な土地に生えるのがブナ。その林床はフカフカで20〜30cm程掘ったところでようやく黒土がでてきます。陰樹であるため日当たりの良いところからは生育しません。
 八木沢や長沢新道などの尾瀬ヶ原周辺、段吉新道や燧裏林道などの燧ヶ岳北西面のブナ林は土壌の厚い多湿地のため日本海要素のヒメアオキーブナ群集となっています。高木層にはブナの他ダケカンバやシナノキ、亜高木層にはミネカエデやハウチワカエデ、コシアブラ、低木層にはオオカメノキ、タムシバ、オオバクロモジ、ヒメモチ、草本層にはコミヤマカタバミ、マイヅルソウ、シラネワラビ、ヤマソテツなどが生育。
 至仏山、笠ヶ岳の尾根や西面の急傾斜で土壌の浅いところではマルバマンサクーブナ群集がみられ、アスナロが多いことからアスナロ亜群集と区分されています。
 なお、ミズナラは乾湿に影響されないため両者の地域に生育していますが、基本的にはブナの住めない栄養の少ない所に生育する陰樹。ただ、栄養の多い沢伝いや尾根伝いなどにも生育し、適応範囲はかなり広ようです。

キタゴヨウークロベ林
 ネズコやキタゴヨウなどの針葉樹は、岩盤上など栄養の少ない多雪地に生育しています。このような場所に形成される林を「多雪地山地帯の岩角地貧栄養林」といい、アカミノイヌツゲ、ミヤマシグレ、ヤマソテツなども見られます。赤田代や平滑ノ滝、三条ノ滝方面、至仏山や笠ヶ岳の山地帯など。至仏山東面登山口周辺は典型的なアカミノイヌツゲークロベ群集。

サワグルミ林
 名前のとおり沢伝いに生育し、日当たりの良いところを好む陽樹。通常岩場のある沢伝いだが、土石流の流れるような所にも生えます。沼尻川や三条ノ滝周辺は日本海要素の山地渓畔林となっており、ジュウモンジシダーサワグルミ群集。高木層には渓畔林特有のトチノキ、ハルニレ、低木層にはテツカエデ、草本層にはジュウモンジシダ、タニギキョウ、エゾアジサイが生えています。

ハルニレ林
 ハルニレはブナの生育する沢伝いや湿性地に多く、トチノキも生育する。川上川周辺や拠水林に見られ、高木層にはカラマツ、トチノキ、亜高木層にはオノエヤナギ、ヤチダモ、低木層にはオゼノクロウメモドキ、コマユミ、カンボク、草本層にはギョウジャニンニク、オオバタチツボスミレ、オオカサスゲが生えています。カラマツは湿原内に生育できることからも酸性土壌に強く土石流の起きる氾濫原にも生えます。

オオシラビソ林
 オオシラビソは多雪地に多く標高1500m以上の亜高山帯に生育しています。オオシラビソが生育する環境はキタゴヨウークロベ林のように岩盤地でもなくブナ林のように肥沃な土壌があるわけでもありません。両者の中間的な環境で浅土壌の酸性傾向にある場所といえます。もともと栄養分が少ない場所なので倒木などわずかでも栄養分のある所に実生の小さなオオシラビソが生育しています。
 尾瀬沼北岸のオオシラビソ群集には高木層にコメツガ、オゼトウヒ、亜高木層にはオガラバナ、ナナカマド、コシアブラ、低木層にはミネカエデ、アズマザサ、草本層にはハリブキ、ミツバオウレン、ゴゼンタチバナが主に見られます。
 三平峠はオオシラビソの純林に近いため植林したかのように密生し、上記亜高木層や低木層の樹木は余り見られず草本層にイワナシやタケシマランが生育するくらいです。このように周囲のどこを見回しても似た景観のため、春先に登山者が迷ってしまうのかもしれません。
 また、同じオオシラビソ林でもアヤメ平や横田代、オヤマ沢田代のように山地湿原の貧栄養地になると高さが5m以下と矮小化し風や雪の影響も受けるため偏向樹(風衝樹)が多く見られます。このような湿原周辺はクロベやアスナロ、アカミノイヌツゲやベニサラサドウダンも生育しています。

ダケカンバ林
 ダケカンバは尾瀬あたりだと標高1500m以上から生育し(シラカバはそれ以下)、日当たりの良い場所を好む陽樹です。さらにマイナス70〜90℃の寒さに耐えうる強靱性をもっているため、他の樹木が生育しづらいような過酷な環境下にも耐えることができます。山の雪崩地にはササが多く生育していますが、必ずといっていいほどダケカンバも見られるはずです。つまり、雪崩地は他の樹木が侵入しづらく日当たりのよさと標高の高いことから、ダケカンバにとって格好の生育地なのです。アヤメ平のせっぴができる雪崩地や景鶴山の雪崩地、燧ヶ岳のナデっ窪あたりはその典型です。



2、草本

キンコウカ
 湿原に生育しているキンコウカですが、岩盤地を好みます。つまりキンコウカの生えている下は、岩盤で形成されているケースが多いのです。

チングルマ
 通常チングルマは山岳地帯で見られますが、竜宮十字路や下田代、白砂湿原など湿原内にも生育しております。これはキンコウカ同様、その下が岩盤で形成されていることのあらわれです。