コース案内
下田代は沼尻川から見晴地区までのことをさし、中間湿原タイプ。沼尻川は群馬県と福島県の境を流れており、下田代が福島県、中田代が群馬県となります。
下田代は上田代や中田代のような後背湿地型ではなく沢沼型の湿原が多く占めています。つまり、燧ヶ岳の溶岩流による扇状地をベースに湿原が発達したものなのです。それゆえ木道から見ると、随分と横方向に長い湿原であるという印象を受けます。
岩盤上に形成された湿原であるがゆえ、チングルマやキンコウカが多く見られますし、ニッコウキスゲが群落する地点として有名なのですが、やはり一番の見どころは草紅葉。

この写真は晴れの日なのですが、草紅葉が最も幻想的な美しさを見せてくれるのは雨が降っている時なのです。どうも登山者の方々は雨が降ると「運が悪いとか、雨女のあなたがいたからよ!」と口にしますが、これほどラッキーな気象状況に巡り合わせたことを喜ぶ方がいらっしゃらないのは残念でなりません。
雨露に濡れて黄金色に輝く草紅葉の湿原は、きっと忘れられない思い出のひとつになるはずです。樹木の紅葉は快晴の日に限りますが、こと草紅葉に関しては雨の日なのです。決して雨が降っているからといって落胆する必要はありませんよ。
上の写真は見晴の山小屋が小さく見える辺りの木道上なのですが、その少し手前に六兵衛掘といって拠水林の形成されている場所があります。中央に流れる小川には、必ずイワナが泳いでいますので立ち止まって探してみて下さい。きっといるはずです。
また、六兵衛掘にはザゼンソウの群落地があります。ザゼンソウは風変わりでおもしろい植物ですよ。ただ、どうも地味なので『情けない花!』『名前負けしてる!』と感じてしまいます。座禅草という名前から崇高な花とイメージすると、ちょっとがっかりするかもしれません。このインパクトは雨に濡れたワタスゲに匹敵するもので、なぜだか頭から離れない。
みなさんにも是非、この落ち武者の風情を醸し出している座禅草を見ていただきたいものです。
ザゼンソウ以外に群落する植物として、ヒメイチゲもあげられます。単体で咲いている時には小さすぎて目立たないのですが、ここでは群落になって咲いているので見過ごすことはないでしょう。
それと、話しは異なりますが、ここはクマのルートになっていますのでとくに夕方は近付かない方がいいかもしれません。無数の踏み跡とザゼンソウの食痕が多数ありますので。
見晴地区近辺には珍しいミツバサワヒヨドリやオゼノサワトンボ、ウメバチソウなどの植物が生育しています。また、下田代の木道にはシマヘビやアオダイショウがなぜかたくさん出現します。毒はもっていないので危険性はありませんが、踏み付けたりしないよう。特にポカポカ陽気で、登山者の少ない日は要注意。